猫の病気 
注意書き
・新たに猫を飼う時には必ず病院で検査してもらいましょう。
・生後2ヶ月以上であれば予防接種もお忘れなく!
・また、病気とひとくちにいっても症状は様々で、似たような症状の病気も多数あります。
・素人判断は危険なので、兆候が見られたら早めに病院へつれていってあげましょう。

1・こんな異常がみられたら・・
2・ワクチン対応の病気
3・猫と妊娠
4・その他主な病気
5・中毒

1・こんな異常がみられたら・・・

症状 考えられる原因 説明と対応(家庭で対応できるものは限られています)
目やに 結膜炎
アレルギー
角膜の傷
ウィルス性感染症
両眼とも眼があかないくらいひどいときはウイルス性感染症の可能性あり。すぐに病院へ!
結膜が腫れるようなら結膜炎の可能性もすぐに温かい湿った布か脱脂綿で目やにをふき取ってあげましょう。目やにの種類や病期によってカタル性、化膿性、急性、慢性と分けられますが、素人判断は不可能なので獣医師の診断を受けてください。
治療法としては目薬か軟膏剤が処方されるかもしれません。
角膜が傷ついた時も涙や目やにがでます。ごく浅い傷であれば投薬治療で3〜5日で完治するのですが、場合によっては外科手術が必要です
鼻水 副鼻腔炎
アレルギー
ウィルス感染症 他
口で息を吸っていたり、目やにを伴う場合は伝染病の可能性あり。
放っておくと気管支炎や肺炎にもなり得るので病院へ。
水のような鼻水で時々くしゃみをする程度ならかるい鼻炎です。
鼻がかわいている 熱性疾患
伝染病、その他病気
寝起き30分くらいは乾いているのが普通ですがそれ以外であれば風邪の可能性があります。重症になる前に獣医師の診断を受けてください。
腹部のはれ、しこり 肝臓の病気(脂肪肝など)
回虫(仔猫)
乳がん
家庭での判断は不可能です。大きな病気も考えられますので獣医師の診断が必要です。 病気にもよりますが、一番大切なのは食事です。
肝臓の負担を減らし、良質なタンパク質などをあたえてください。
脂肪肝は猫にはよくある病気で、肝臓細胞に過剰な脂肪が溜まるものです。
食事療法と獣医師の処置を受けてください。
回虫の可能性がある場合は、病院で検便をしてください。
口臭 歯石が溜まっている
慢性肝不全、胃炎
糖尿病(甘いニオイ)
口内炎
ウィルス性伝染病
歯垢を取るため、指にガーゼを巻き、1日1回、歯肉をマッサージしてあげます。
ただ、口臭はあなどれないもので、右記病気の他、歯肉炎、猫白血病、猫伝染性腸炎、猫ウィルス性鼻気管炎、ビタミン欠乏症、副鼻腔炎、肺炎、胃腸疾患など考えられる病気は数多くあるので、一度医師の診断を受けてください。
嘔吐 消化不良
腎不全
異物飲み込み
回虫(仔猫)
猫は消化しにくいものや有害物を飲み込むとすぐに吐き出します。
毛玉を吐く場合も心配ありません。
ただ、あまりにも回数が多い場合、腎不全も考えられます。吐き出した物をチェックし、獣医師に伝えてください。
毒物(殺虫剤等)飲んだ場合はただちに医師の診断をうけてください。

消化不良の場合は半日〜1日絶食させて異物が排出されるのを待ちましょう。その後、刺激の少ない食事を少しずつ与えてください。それでも吐くようなら病院へ!
下痢 ウィルス感染症
アレルギー
消化不良
回虫(仔猫)
肝臓、膵臓の病気
猫伝染性腹膜炎他
単純な下痢の場合は刺激の少ない、消化しやすい食事を少量ずつ与えてください。脱水症状を防ぐため、水は沢山与えてください。
ただ、甘くみることは危険なので早めに獣医師の診断を受け、適切な治療を行ってください。
便秘 >繊維質の不足
運動不足
脱水症状
異物飲み込み
毛だまのつまり
腎臓病、腫瘍
肛門の病気
骨盤付近の骨折他
お腹を触って刺激を与えてください。
エサを繊維質の豊富なものにしましょう。
ひどい便秘の場合は深刻な病気も考えられますので医師の診断が必要です
フケ 外部寄生虫
アレルギー
皮膚病
感染症 他
フケは表皮の角質層という真皮の表の層がはがれおち、新しい層と入れ替わる時に出てきます。通常、どのネコにもあることなのですが、あまりにもひどくなるとフケの小片が見えるようになります。ネコの皮膚についてフケとそっくりに見えるネコツメダニや、その他皮膚の病気も考えられますので早めに病院でみてもらいましょう。
通常のフケであればブラッシングで取り除くことができます。猫用ブラシなどフケ、ノミ対策のものがでているのでそちらを使ってみてください。
かゆがる ノミ
ノミアレルギー皮膚炎
シラミ
疥癬
皮膚糸状菌症
猫のかゆみの原因のひとつにノミがあげられます。
毛に黒いぶつぶつが見られる場合などがそれです。4匹に1匹の猫がノミの唾液アレルギーを持っているといわれます。
家庭では家中のノミの駆除と飼っているペットのノミ駆除を同時に行いましょう ノミ駆除用外用薬や駆除製品も多数あります。
またグルーミングを頻繁に行ってください。猫を白い紙の上に置き、目の細かいくしでとかすとノミがいる場合、ノミの糞がでてきます。グルーミングによってシラミ対策もできます。シラミは猫の身体から離れるとすぐに死ぬからです。シラミは冬、これからの季節要注意です。
疥癬、皮膚糸状菌症については下の「その他主な病気」で説明しています。

2・ワクチン(予防接種)対応の病気

猫ウィルス性鼻気管炎 発熱
くしゃみ、よだれ
涙、目やに
下痢
肺炎 など
秋〜冬にかけて流行することが多い。
多少なり食欲があれば消化のよい食べ物を与えるようにしましょう。
3種混合ワクチン接種で予防できます。必ず接種してください。
猫伝染性腸炎(猫ジステンパー) ウィルス侵入から2日〜6日で発熱、食欲低下
嘔吐、下痢
死亡率75%〜90%の恐ろしい病気。
このウィルスは発病した猫の便から大量に感染するもので、病気から回復しても数週間に渡って排泄物からウィルスが認められることもある。病気の猫が使用したタオル、毛布等は消毒、または破棄することが確実です。
ノミなどの吸血寄生虫が病気を広める恐れもある。
家庭での判断はできないので即行病院へ!!猫が発病したとみられる場合は暖かい部屋に閉じ込めて、体温が安定し、食欲がでるまで医師の診断に従ってください。
3種混合ワクチンで予防できます。
猫カリシウイルス感染症 発熱
食欲低下
くしゃみ、よだれ
目やに
風邪の一種。舌や唇に潰瘍ができる。放っておくと肺炎になる。
病気の猫のよだれや便の中にこのウィルスが含まれている。
3種混合ワクチンで予防できます。

この3つは混合ワクチンで、生後2ヶ月でまず1回目、その1ヶ月後に2回目を受けます。成猫の場合も初めての時は2回受けます。
その後は年に1回のみです。
3種混合ワクチンは必ず接種してください。

ワクチンのない伝染病

猫伝染性腹膜炎 お腹や胸に水がたまる
下痢なども
食欲低下、発熱
コロナウィルスという猫全体に多く広がっているウィルスが原因。全体の4分の1の猫がこのウィルスに感染していると考えられる。そのうち1〜5%が発病、死亡率も高い恐ろしい病気です。
治療は免疫抑制剤やステロイド剤、抗生物質などの投与で症状を軽減できるが、かなり長期に渡って根気よく治療を続けることが大切です。
同居猫がいる場合は、病気の猫を隔離する必要もあります。
猫白血病ウイルス感染症> 貧血
腎臓病、
口内炎、
歯肉炎、
外耳道炎
腸炎などの慢性化
表面的な症状は目立たないが発病すると4割は死に至る。
上記伝染性腹膜炎と併発することもある。
病気の猫の唾液、尿、便、はてや母乳の中からもウィルスが検出されている。
病気になった猫は他の猫との接触を避けることが大切です。検査も十分に受けてください。
ヘモバルトネラ症
(猫伝染性貧血)
食欲低下
体重減少
発熱
貧血
ノミなどの吸血寄生虫が感染源の可能性大!
症状が進行しないうちは回復の見込みはあるので有効な抗生物質の投与を!
ただ、上記猫白血病ウィルス感染症と併発すると長期の治療が必要。
クリプトコッカス 鼻水
視力低下
カビの全身感染。鳩の糞からほこりにまぎれ鼻、口から感染。
早期発見で治すことも可能。

上記ウィルス性の病気はワクチンがありません。定期的な健康診断でもしものときに備えることが大切です。

3・猫と妊娠
妊娠したら猫との同居は無理!というのは誤解です!
そもそものいわれは妊娠初期に猫がフンと一緒に排泄するトキソプラズマに感染すると流産や水頭症などの奇形の原因になるからということですがきちんと調べて清潔にしていれば大丈夫です。(サクラの家も最近仔猫を飼い始めたばかりですが家族の中に妊娠中の者もいます。)

予防策
・猫のトイレの処理は他の人にしてもらう。どうしても本人がしなくてはならない場合は必ずその日のうちに処理すること。(素手でさわらないように!)
・猫をさわったあとは消毒効果のある石鹸などできちんと手を洗う。
・生の豚肉は食べない!(こちらの方が感染率が高い!)豚肉を調理するのに使ったまな板などはしっかり洗うこと!

飼い主→陽性
猫→陽性
問題なし
飼い主→陽性
猫→陰性
可能性は少ないが調べる必要あり
飼い主→陰性
猫→陰性
調べる必要あり

<注>トキソプラズマは猫に限らず小鳥やハムスターなどにもいる原虫です。

4・その他主な病気

主な病気を身体の各器官、原因別に分けました。

器官 病名 症状 予防策
栄養不足 イエローファット 腹部に固い帯状のしこり
触ると痛がる
発熱
皮膚に穴が開くこともある
アジやサバ、カツオ、マグロなどに多い不飽和脂肪酸や肉だけの偏食が原因。
・ビタミンEの摂取を心がけましょう。
カルシウム欠乏症
(仔猫)
骨折
骨髄変形
後半身の弱り
抱くと痛がる
マグロ、米、肉などの偏食が原因。
・ビタミンDも必要なので日頃から日光浴をこころがけましょう。
ビタミンB1欠乏症 けいれん
身体のバランスの異常
炭水化物の与えすぎが原因。
魚がビタミンB1を破壊すると考えられている。
・食事内容を一から検討してみてください。栄養バランスはとれていますか?
寄生虫 回虫 嘔吐、食欲低下
貧血、ひきつけ
腹部の膨れ
毛づやの低下
下痢、便秘
腸閉塞(ひどい場合)
など
猫回虫、犬回虫、犬小回虫などがある。
猫回虫は長さ5cm〜10cmくらいのもやしのような細長い虫で小腸に寄生。
猫が回虫を吐いたり便から出したりした場合は即行病院へつれていってください。
また、その兆候がなくても日頃から検便検査をするようこころがけましょう。ここで回虫が発見された場合、駆虫剤を与えれば回虫退治することができます。
条虫
(サナダムシ
>激しい消化障害
嘔吐
下痢
慢性腸炎
脳神経障害 など
猫条虫、犬条虫など。小腸に寄生。
条虫の卵は一時的にうさぎ、ねずみ(ハムスター)、リスなどのげっ菌類の身体に入って孵化し、そこでその動物の腸壁を食い破って血管に入り込みさらに肝臓の中まで行きそこで体長20cmくらいの子虫となる恐ろしい寄生虫です。この条虫を持った動物を猫が食べると猫の小腸の中で成虫になります。
予防策としては猫が他の動物を食べないよう注意する(当たり前ですが)、ノミの駆除もきちんと行う、などのことが大切です。
コクシジウム 食欲低下
発熱、下痢
仔猫に発病することが多い危険な寄生虫です。
仔猫の下痢がひどい場合は早めの治療が大切です。
日頃から糞便はその日のうちに始末し、トイレを清潔に保つようにしてください。
泌尿器 FUS(泌尿器症候群) 腹部の膨れ
トイレに行くが尿が出ない
・予防策としてFUS対応のキャットフードを与えましょう。
特にオス猫に多くみられ、仔猫時代の泌尿器系発育不全が原因と考えられます。
専門家の判断が必要な非常に重い病気です。
膀胱炎 トイレに行く回数が増える
重症の場合1日中トイレにいることも
尿がでにくい
濃い黄色から茶褐色、赤茶色の尿
軽度の発熱(39,5度)
食欲不振
下腹部の痛み
猫にとても多い病気です。
細菌の感染、膀胱に結石や尿砂がたまったため起こることもあります。
外陰部を清潔に保ちましょう。細菌の進入を防ぎます。
トイレもきれいに保ちましょう。トイレの汚れも細菌の繁殖を助けます。

軽度なうちに適切な処置を行うことが大切です。
慢性化する前に病院での治療をおすすめします。
尿道炎 排尿を嫌がる
排尿に痛みを感じる様子
口内の衛生を保ちましょう。
外陰部も清潔に!暖かい湿ったタオルで外陰部を引いて、温水で洗って揚げましょう。
万が一病気になってしまった場合も適切な治療であまり時間をかけずに治すことができます。兆候があった場合は必ず病院へ!
血尿 尿が赤茶色 急性、慢性腎炎、膀胱炎、FUS、外傷などの症状のひとつ
出血の原因をつきとめ、適切な治療を行いましょう。
貧血も考えられます。栄養には注意してください。
消化器 毛玉症 消化不良 毛づくろいの際に飲み込んだ毛が胃の中で球になって食べ物が腸に届かなくなります。
・日頃のグルーミング、猫草などで予防を!>
腸炎 下痢(においが強い)
血便(激しい場合)
嘔吐(胃炎を伴う)
細菌感染、パルボウィルス感染、化学物質の摂取、消化器官の寄生虫、アレルギー、異物摂取など様々な原因があげられます。
・パルボウィルス感染に関してはワクチン接種で予防できます。
・いずれにしても普通ではみられない症状なのでただちに病院へ連れて行きましょう。
皮膚 疥癬 耳、頬、頭頂部にフケのかたまりのようなかさぶたがある
患部の激しいかゆみ
腹部の赤い斑点
細かい脱毛
代表的なのはヒセンダニによる猫疥癬でダニが皮膚にもぐりこんで卵を産み、そこから感染します。
この感染はヒセンダニが住みついてから2週間から2ヶ月後には身体の各部に症状が現れます。
猫同士、犬との接触によって直接うつることもあれば、汚染されたグルーミング器具を通して間接的にうつることもあります。人間にもうつります。
・予防策として、猫の自然治癒力を高めるために亜鉛、ビタミンC、Eなどを与えてください。
・その他にも猫の寝具は定期的に洗濯し、グルーミング器具も清潔に保ちましょう。
・同時に2匹以上のペットを飼っている場合はそれぞれ病気の兆候を見逃さないよう注意してください。1匹感染するとすぐに広がります。
皮膚糸状菌症> 頭、耳、足、背中の円形脱毛
そこがあかくなりフケがおちることも
かゆみ
真菌による感染症です。1歳までの幼猫が最もかかりやすい病気です。
動物から人間にうつります。人間に感染した場合は小さな水疱を伴った赤い斑点ができます。
・グルーミング器具などは清潔に保ちましょう。
・寝具やカーペットはこまめに洗いましょう。
真菌の胞子はこれらの上でしぶとく生き延びます。

5・中毒
うちのミーシャは1度殺虫剤で殺した虫を食べてしまったことがあります*(日記:「猫と殺虫剤」参照)
その点を反省して、猫にとって中毒となるものと応急処置の仕方をまとめてみました。

毒物 詳細
殺虫剤 一番危険!除虫剤、有機リン剤など
薬物 人間用の頭痛薬
(アセトアミノフェン、アスピリン)
フェノール類 パラフィン、トルエン、キシレン、クレゾール、コールタール、クレオソート
これらは皮膚や粘膜から吸収されるので猫の周りに置かないこと!
ペンキ、錘
植物 主なユリ科の球根
(アマリリス、ラッパスイセン、チューリップ、サフラン、スズラン等)
ナス科
(トマト、ナス、ジャガイモ、ほうずきなどの緑の部分&若芽)
玉ねぎ、ネギ類
(これらのエキスが入っているものでも中毒症状を起こします)

(ジンチョウゲ、ツゲ、キョウチクトウ、イチイ、ツツジ等)
ヒキガエル 猫がくわえるとNG!

応急処置
※皮膚などに中毒物質がかかった場合は大量の水で洗い流してください。
※中毒物質を飲み込んだからといって無理に嘔吐させるとかえって危険です。
※猫が水をのみたがっている場合は与えても良いでしょう。

※猫に中毒症状(元気消失、意識不明、けいれん、呼吸困難など)がでている場合はただちに獣医師の診断をうけてください!

うちのミーシャが殺虫剤で殺した虫を食べた時は表面的にはいつもと変わりなく元気に見えましたが、病院の血液検査で肝臓に殺虫剤の症状がでていました。飲み込んでから検査するまで30分くらいだったのですが、こんなにすぐに症状がでるとは思わなかったので改めて殺虫剤(中毒)の怖さを思い知らされました。